今年人事に発信した「教育方針」も見つけたので貼っておきます。

SIの社員教育方針

■概要

中期計画Core2015で、22期「人材育成プランの実行」、23期「人材育成が業績貢献に」と2期連続で”社員教育の強化”を基本方針に掲げている。これを実効性のあるものとするために、次のような方針で人材育成を推し進めていきたい。

 

■SIの社員教育の基本方針

1.計画を立てる

年度の始まりに教育カリキュラムと実施時期についてきちんと計画を立てる。これを社内ポータルに公開して、人材育成の見える化を行う。

 

カリキュラム、内容(やり方)、使用テキスト、受講対象、期待する成果、実施時期などをまとめたカリキュラム一覧を作成して共有することにより、人事、部門長、受講者、経営層それぞれの立場で人材育成に関わりを深めることができる。

 

2.内容をレビューする

各教育の内容について、人事だけでなく、現場(テーマによっては経営層)も入った上でレビューしてから決定する。

 

例えば、PL研修の内容は「まずPLの役割など心構えを持ってもらう」「OBPMベースの実践的なToDoを身に着ける」「OBPMにとらわれないプロジェクト管理の本質を理解させる」など、さまざまな方向性が考えられる。これをどのような方針やバランスにするかをディスカッションして最適なものを決める。

 

各カリキュラムでそういうレビュー・ディスカッションが必要と思われる。(社外研修も、どのような内容なのかを事前公開し、その内容が現場の求めるものとなっているかを確認する)。

 

3.テキスト(教育資材)を共有する

社内ポータル(Sharepoint)上に教育カリキュラムごとの教材資料を置き、これを全員(非受講者も含む)で共有する(そのための場所を整理して社員に通知)。ただし、アクティブラーニング系で事前にテキスト内容を見させたくないものもあるので、カリキュラムによって調整する。

 

教育に使用するテキストの内容についても、講師まかせにしないで複数人できちんとレビューする。また、終わった後で受講者の意見を聞いてすぐに修正・加筆しておく。

 

4.社外に丸投げしない

社外講師は、プロなので終わった後のアンケートは良いが、3か月後に効果が残っているかどうかのフォローも必要。社外を使うとしても、SIの基本方針をきちんと示した上でベクトルを合わせて教育する。

 

例えば、メンタルヘルスの教育を行うにしても、会社としてメンタルヘルス問題にどう向き合っているか、何が良くて何が悪いか伝えた上で、社外講師に研修してもらうべき。また、社外講師がどのような教育を行っているかを人事(必要に応じて上司も)も受講して、ベクトル合わせの努力をする。

 

5.研修の内製化

「教えることは学ぶこと」。実践的な教育については、各部門の協力を得ながらできるだけ内製化をしてゆく(それが講師のスキルアップにつながり、ひいては部門強化になる)。この方針において、上記のレビューや共有が研修の品質を上げることに役立つ。

 

6.アクティブラーニングを重視

座学の一方通行の講義は極力減らし、アクティブラーニングを重視して教育効果を高める。”きちんと教育していること”が重要なのではない。”本人が成長すること”がなければ意味がないので、「どうやったら一番効果があるか」を深く考えて実施する。

 

7.受講履歴と受講者アンケート

研修後の受講者アンケートをよりシビアな内容にする。講師、受講内容、受講で得たもの、持ち帰って部門でどう活用するか、など、単なる5段階評価ではなく、できるだけ書かせる方式にする。また、受講履歴とアンケート結果も上記ポータルで一元管理する)。カリキュラムによって公開具合は調整する必要があるが)。

 

8.動画の撮影

必要に応じて受講内容を動画撮影してポータルで共有し、非受講者が学んだり、本人が振り返られるようにする。ただし、動画を撮って共有するだけだと、ほとんど観てもらえないので、部門ミーティングでポイント部分を流すとか、見てレポートを揚げさせる宿題を出すとかの工夫がセットになる。

 

9.フォローアップを行う

とかく、1回受講したら”済”んだことになってしまい、3ヵ月後、1年後にすっかり忘れてしまいがち。そのため、”理解度の確認”および”リマインド”のために、各カリキュラムのフォローアップの仕組みを用意する。

 

例えば、ロジカルシンキングを学んだ対象者に対して、3か月後にケーススタディで「このような場合にどうすべきか?」という課題を提出してもらい、どれだけロジカルに考えられるようになったかを確認する。また、PL研修を行った人に対して、毎年、リマインド研修を行って、PLとしての基本技量を維持できるようにする。など

 

10.継続型の教育

今年よりも来年、来年よりも再来年と毎年教育が充実してゆく。そのような中期計画を立て、教育コンテンツをブラシュアップし、3年後にはさらに充実した内容にするという中長期ビジョンを持った教育計画を実践してゆく。

 

■課題および検討項目

(課題)

”学んで成長できるチャンス”って本人が思わない限り、”受けなきゃいけない”と押し付けられ感で学んでも効果が薄い。(受けてみたら、思いのほか良かったってことも多いが)。

この本質的な問題をそのままに取り組んでも十分な効果が得られないので、この根本的問題の解決案を検討したい。

 

(解決案)・・・検討項目

1.希望者のみにする。

受けたくない人に、金と時間を使って教育してあげるのは甘やかしである。自分のスキルアップのために”受けたい人だけ受けられる”ことにする。

 

2.受講資格を一律にしない

誰でも”受けたい”と言えば受けられるものではない。受けるだけの素養や実力が備わっているか、この人がこのカリキュラムを受けることによって、会社は得るものがあるか、などをドライに判断し、一定条件を満たしたものだけや上長推薦者のみ受講資格を持つようにする。

 

3.受講者の意識を変える

会社がどのようなエンジニア像、スキルを求めているかを明確にして伝える。それを受けて、受講申込時および受講前に、これを受講することによって、自分はどのようなスキルを身に着けて成長するかのイメージを持ってもらう。(そうしたイメージを持って臨まないとなかなか効果が出ない)。また、イメージ通りに得るものがあったかどうかをアンケートに書いてもらう。

 

4.講師が受講者を評価する

受講態度、活発に質問をしたか、理解していたか、など講師が受講者を評価する。評価の低かったものは、上記の受講資格を下げるなど、シビアな教育を行っていく。

 

 

■目指すべきところ

「自分のスキルアップのために一生懸命勉強する」という社員が大幅に増えて、そのような雰囲気あふれる職場にする。「勉強会」や「社内研修」などが活発に行われ、社外にも積極的に出てスキルアップを行うのが当たり前というムードを作る。(そのためには、当事者だけでなく、経営者、部長、マネージャ、専門職みんなが、そのような目的意識を明確に持つ必要がある。)